原子爆弾とは〜注78

公開: 2019年10月16日

更新: 2019年10月18日

注78. 長距離渡洋爆撃

地理的にヨーロッパ諸国や日本から離れた位置にあるアメリカ合衆国は、戦争が始まると、敵国からは遠く離れた場所から戦闘を続けなければなりません。そのような戦闘を有利に戦うためには、海上を長時間飛行し、敵国の工業地帯にまで飛んで、大量の爆弾を投下できる超大型の爆撃機が必要になります。また、そのような爆撃機が敵国の上空近くを飛ぶと、敵国の戦闘機が防空のために爆撃機を撃ち落とすために飛来し、戦闘機から攻撃を受ける可能性が高くなります。

当時の航空機技術では、空気の薄い高度10,000メートルを、長時間飛行し、5,000キロメートル以上遠方にある敵の都市まで、数トン以上の爆弾を搭載して飛ぶことができる飛行機を開発することは難しいことでした。この問題を解決するため、B-29は、巨大な機体をもち、4つの高出力エンジンで飛ぶように設計されました。さらに、空気の薄い高い高度を飛行できるように、エンジンの回転を利用して、大量の空気を吸い込むことができるスーパーチャージャー(過給機)を装備しました。

日本の戦闘機は、スーパーチャージャーを装備していなかったため、高度8,000メートル以上まで上昇するためには大変な時間を必要としました。スーパーチャージャーを搭載したエンジンを生産する工業力(精密加工技術)は、当時の日本にはありませんでした。

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